どうもこんにちは。
Web/App/UIデザイナーのサトウです。
今回は、ランサーズ わかりづらいシステム手数料の計算方法をわかりやすく解説と題して書いていきます。
また、
- クライアントの支払い金額からランサーの報酬金額を算出する計算方法
- ランサーの報酬金額からクライアントの支払い金額を算出する方法
についても書いています。
ランサーズを利用している人の参考になれば嬉しいです。
ランサーズシステム手数料の改定
2022年10月1日、ランサーズのシステム手数料が改定されました。
どのように改定されたかというと、以下のとおりです。
改訂前 | 改定後 | |
ランサー | 5%〜20% | 一律16.5%(税込) |
---|---|---|
クライアント | なし | 5.5%(税込) |
これまでのランサーズシステム手数料は、ランサーだけが契約金額に応じて5%〜20%ものシステム手数料を取られているような形でした。
それが今回の改訂で、「5%だけクライアントにも負担してもらいます」といった形に変更されました。
また、契約金額によって5%〜20%となっていたシステム手数料の掛け率も一律16.5%に変更されています。
旧システム手数料の掛け率についてはこちらをご覧ください。
クライアント優位は変わらない
今回のシステム手数料改訂で、クライアント側からも手数料をとる形に形式上は変更されましたが、結局のところクライアントが支払う金額は変わらない場合が多いのではないかと推測します。
つまり、クライアントとしては「じゃあ手数料を上乗せして払います」とはならず、「支払う金額から手数料を引いてください」としかならないのでは、ということです。
そして、クライアントから徴収しようがランサーから徴収しようが、ランサーズが手にするシステム手数料は変わりません。
クライアントが支払う金額 – ランサーズが手にする手数料 = ランサーが手にする報酬
という図式も当然変わることはないので、「クライアントからもシステム手数料を徴収するようになった」という点については「名目が変わった」程度の変更と言っていいのではないでしょうか。
ランサー側手数料の掛け率が一律16.5%に
「ランサー側手数料の掛け率が一律16.5%」になったという変更は、一見ランサーに歩み寄った改定のように見えます(ランサーズとしては純粋にそういった意図かもしれません)が、実のところこの変更によってランサーの手取りはさらに減ることになると予想します。
【余談】ランサー側提案時の金額入力UIは要改善
クライアントの支払う金額をベースに考える考え方は相変わらずで、ランサーが金額を提示する際、手取り金額を入力して手数料+消費税を加算した金額で提案することはできません。
ランサーとしては、「手元にいくら入るのか」をベースに、「そこに手数料と消費税が加算されると契約金額がいくらになる」という考え方で金額を入力したいはずです。
それなのに、提案時の金額入力のUIはあくまでも契約金額(税抜)を入力して提案する形となっていて、このUIはランサーとしてはまったく意味不明です。
手数料の掛け率一律16.5%でランサーの手取りが減る!?
クライアントが最終的に支払う金額をベースに考えてみましょう。
例えば、クライアントは税込100,000円を支払う用意があるとします。
改訂前
改訂前は、100,000円 – システム手数料20% = 80,000円で、80,000円(税込)がランサーの手取り金となりました。
【参考】契約金額・ランサー手取り 計算ツール | クラウドソーシング「ランサーズ」
改定後
ところが改定後は、100,000円 – (クライアント側システム手数料 + ランサー側手数料) = 79,147円で、79,147円(税込)がランサーの手取り金となります。
この計算はクライアント支払い金額から計算するのはちょっと面倒なので、ランサーズの用意している手数料計算ツールを使って算出しています。
クライアントが税込100,000円を支払った場合、改訂前であればランサー手取り(税込)は80,000円だったのに対し、改定後では79,147円に減額しています。
クライアントが支払い金額ベースではなく契約金額ベースで考えて手数料5.5%を上乗せしてくれればこの限りではないですが、そういうクライアントがどれだけいるでしょうか?
ランサーズ手数料計算ツール
ランサーズの新しい手数料で、提案金額/支払い金額/契約金額を計算できるツールをランサーズが提供しています。
下記3種類のうちいずれかの金額から他の2種類の金額を算出できます。
- ランサー手取り金額(税込)
- クライアント支払い金額(税込)
- 契約金額(税抜き)
高額の案件ともなればなおさら
これまで、契約金額の10万円超〜20万円以下の金額部分にかかる手数料は10%、20万円を超える金額部分にかかる手数料は5%でした。
それが、今回の改訂で一律16.5%になったわけですから、高額の案件においてランサーが被る手数料の痛手は尋常ではないでしょう。
例えば、クライアントの支払い金額が30万円だとすると、改訂前のランサー手取り金額は265,000円(税込)でしたが、改定後では237,440円(税込)となり、27,560円も多く手数料を取られることになります。
これはかなりの痛手ですね。
ランサーズにおける金額の種類「ランサー手取り」と「契約金額」
※ここから先は2022年10月1日のランサーズ手数料改訂前に書かれたものです。
ランサーズでは、金額の種類として「ランサー手取り」と「契約金額」の2種類があります。
クラウドワークス等、他のクラウドソーシングサービスでもこれは同じで、例えばクラウドワークスの場合は「ワーカー受け取り金額」と「契約金額」という名称になります。
「ランサー手取り」はランサーが受け取る金額
「ランサー手取り」というのは読んで字のごとく、ランサーがプロジェクトを納品した際に受け取る金額です。
ランサーからクライアントに対して提案する際、ランサーは金額を「ランサー手取り(税抜)」で設定します。
実際にランサーが受け取る金額は、この「ランサー手取り(税抜)」に消費税が加算された金額になります。
「契約金額」はクライアントが支払う金額
「契約金額」というのは、契約書に実際に記載される金額、つまりクライアントが実際に支払う金額です。
ランサーの提案する「ランサー手取り(税抜)」の金額にシステム手数料が加算された金額が「契約金額(税抜)」、消費税が加算された金額が「契約金額(税込)」となります。
この「契約金額(税込)」が、実際にクライアントが支払う金額です。
契約金額にかかるシステム手数料の掛け率
ランサーズでは、ランサーとクライアントとの取引金額に応じて5%〜20%のシステム手数料が発生します。
クライアントの支払う金額からこのシステム手数料を差し引いた金額が、ランサーの得る報酬金額となるわけです。
契約金額(税込)にかかるシステム手数料の掛け率は以下のようになっています。
10万円以下の金額部分 | 20% |
---|---|
10万円超〜20万円以下の金額部分 | 10% |
20万円を超える金額部分 | 5% |
ここで気をつけたいのは、「金額」ではなく「金額部分」という表現です。
システム手数料は、契約金額に対して一律でかかってくるものではなく、上の表にある「金額部分」に対してそれぞれの掛け率でかかってくるものなのです。
「金額部分」という表現に馴染みがなくわかりづらいですが・・・
例を挙げながら見ていきましょう。
例えば、契約金額が30万円だったとすると、システム手数料は5%の1万5千円ではなく、3万5千円になります。
どういう計算になるかというと、
30万円のうちの・・・
「10万円以下の金額部分」に相当する 1円〜10万円までの10万円に対して |
20%の2万円 |
---|---|
「10万円超〜20万円以下の金額部分」に相当する 10万1円〜20万円までの10万円に対して |
10%の1万円 |
「20万円を超える金額部分」に相当する 20万1円〜30万円までの10万円に対して |
5%の5千円 |
のシステム手数料がかかり、合計で3万5千円になる、というわけです。
なかなかにややこしい話ですね。
システム手数料は「契約金額」から計算する
先ほどから「契約金額にかかるシステム手数料」と書いているように、システム手数料はランサーの提示する報酬金額ではなく、クライアントの支払う契約金額にかかってきます。
ランサーの提示する金額にシステム手数料を上乗せした金額をクライアントが支払う
のではなく、
クライアントの提示する金額からシステム手数料を天引きした金額をランサーが受け取る
という考え方であり、お金を払う側の、クライアント視点の考え方と言えるかもしれません。
クライアントの予算に収まるように金額を提示したい場合
クライアントが予算を提示していて、その予算内ギリギリの金額で提案したい場合、金額はどのように計算すればいいでしょう?
その計算方法は、
クライアントの予算(税込) – システム手数料 – 消費税 = 報酬金額(税別)
↓
(クライアントの予算(税込) – システム手数料) ÷ 1.1 = 報酬金額(税別)
↓
クライアントの予算(税込) × (1 – システム手数料を小数に転換した数字) ÷ 1.1 = 報酬金額(税別)
となります。
つまり
10万円以下の金額部分 | クライアントの予算(税込) × 0.8 ÷ 1.1 = 報酬金額(税別) |
---|---|
10万1円〜20万円の金額部分 | クライアントの予算(税込) × 0.9 ÷ 1.1 = 報酬金額(税別) |
20万1円以上の金額部分 | クライアントの予算(税込) × 0.95 ÷ 1.1 = 報酬金額(税別) |
の合計額を、提案画面の「ランサー手取り(税抜)」欄に入力すればOKです。
【例1:クライアントの予算が50,000円(税込)の場合】
50,000 × 0.8 ÷ 1.1 = 36,363(小数点以下切り捨て)
ランサー手取り(税抜) = 36,363円
【例2:クライアントの予算が150,000円(税込)の場合】
100,000 × 0.8 ÷ 1.1 = 72,727(小数点以下切り捨て)
50,000 × 0.9 ÷ 1.1 = 40,909(小数点以下切り捨て)
72,727 + 40,909 = 113,636
ランサー手取り(税抜) = 113,636円
自分の手取りベースでクライアントに支払い金額を伝えたい場合
提案内容や金額についてメッセージでやりとりをしていると、メッセージの中で一旦金額を伝えたい場合があります。
そんなとき、「○○○○○円+消費税+システム手数料です」と伝えてもいいですが、それだとイマイチ先方にも伝わりづらいと思います。
できれば、先方が支払う金額を明示してあげたいですね。
どのような計算をして希望報酬金額からクライアントの支払い金額を算出すればいいでしょう?
先述した、クライアントの予算から報酬金額を算出する方法を逆から計算すればOKです。
つまり、
報酬金額 × 1.1 ÷ (1 – システム手数料を小数に転換した数字) = クライアントの支払い金額
となります。
税別手取り金額72,727円以下
ランサーの税別手取り報酬が72,727円のとき、クライアントの税込支払い金額がちょうど10万円になります。
これ以下の金額であれば、計算方法は複雑ではありません。
【例】報酬金額を10,000円(税別)受け取りたい場合
10,000 × 1.1 ÷ 0.8 = 13,750
となり、13,750円(税込)がクライアントの支払い金額になるというわけです。
税別手取り金額72,728円以上
ランサーの税別手取り報酬が72,728円を超えると、クライアントの税込支払い金額が10万1円を超え、計算方法が少し複雑になります。
さらに、ランサーの税別手取り報酬が154,546円を超えると、クライアントの税込支払い金額が20万1円を超え、計算方法はさらに複雑になります。
受け取り報酬額のうち、下表のとおり報酬金額を分割して計算しなければなりません。
受取報酬額の金額部分 | 手数料掛率 |
---|---|
72,727円までの金額部分 | 20% |
72,728円〜154,545円までの金額部分 | 10% |
154546円以上の金額部分 | 5% |
【例1】報酬金額を150,000円(税別)受け取りたい場合のクライアント支払い金額(税込)
72,727 × 1.1 ÷ 0.8 = 99,999
77,273 × 1.1 ÷ 0.9 = 94,444
99,999 + 94,444 = 194,443
クライアント支払い金額(税込) = 194,443円(税込)
【例2】報酬金額を200,000円(税別)受け取りたい場合のクライアント支払い金額(税込)
72,727 × 1.1 ÷ 0.8 = 99,999
81,818 × 1.1 ÷ 0.9 = 99,999
45,455 × 1.1 ÷ 0.95 = 52,632
99,999 + 99,999 + 52,632 = 252,630
クライアント支払い金額(税込) = 252,630円(税込)
クライアント支払金額/システム手数料/ランサー報酬金額の対応表
クライアント支払金額 | システム手数料 | ランサー報酬金額 |
---|---|---|
100,000円(税込) | 20% | 72,727.272727272727273円(税別) |
100,001円(税込) | 20% / 10% | 72,728.090909090909091円(税別) |
200,000円(税込) | 20% / 10% | 154545.454545454545455円(税別) |
200,001円(税込) | 20% / 10% / 5% | 154546.318181818181819円(税別) |
まとめ
さて、今回は、ランサーズのシステム手数料の計算方法について書いてきました。
いかがだったでしょうか?
金額が大きくなるにつれてわかりづらくなりますが、落ち着いて計算すれば大丈夫だと思います。
最後に、ランサーズのシステム手数料の特徴とクライアント支払額/ランサー報酬額の計算式をまとめておきます。
- システム手数料はクライアントの支払う契約金に対してかかる
- システム手数料の掛け率は契約金に対して一律ではなく、〜10万円/10万1円〜20万円/20万1円〜に対してそれぞれの掛け率でかかる
- クライアントの予算金額からランサーの税別手取り報酬金額を算出する計算式は、クライアントの予算(税込) × (1 – システム手数料を小数に転換した数字) ÷ 1.1
- ランサーの税別手取り報酬金額からクライアントの税込支払い金額を算出する計算式は、報酬金額 × 1.1 ÷ (1 – システム手数料を小数に転換した数字)
読んでくださったあなたの参考に少しでもなれば嬉しいです。
それではまた次回。