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ブログを7か国語に多言語化した4か月後の衝撃的な結果

7か国語に多言語化したブログの衝撃的な結末

どうもこんにちは。
Web/App/UIデザイナーのサトウです。

今回は、ブログを7か国語に多言語化した4か月後の衝撃的な結果について書いていきます。
アフィリエイトブログを多言語展開しようか考えている人はよろしければ読んでみてください。

この記事は、ブログを7か国語に多言語化してアフィリエイト収益を20倍にするの続きとなっていますので、前記事を未読の方はよろしければそちらからどうぞ。

ブログの多言語化についてざっとおさらい

前記事で書いたブログの多言語化についてざっとおさらいしておきます。

ブログ多言語化の概要

  • 多言語展開したのはこのブログではなく、別で運営しているガジェット系のブログ
  • 展開した言語は英語、ドイツ語、中国語(簡体字)、中国語(繁体字)、フランス語、スペイン語、日本語の7言語
  • 翻訳はDeepLを使った機械翻訳
  • 現地の風土などを考慮したローカライズはしない
  • サーバーは日本のXserver
  • URLは末尾に言語ごとのディレクトリを付ける形(https://ドメイン名/en)
  • 言語ごとに作ったディレクトリにそれぞれWordPressをインストール
  • 英語版とドイツ語版のみ全記事翻訳・公開し、それ以外の言語は130記事ほど翻訳・公開

多言語化したブログの概要

取り扱いテーマ ガジェット、カメラ/写真、アプリ、AppleデバイスのTips
運用期間 2010年5月から現在運用中
記事数 396件
更新頻度 不定期
集客手段 約96%が自然検索。他、ダイレクト、リファラル、ソーシャルが極少数。
月間ユーザー数(直近30日) 52,628 User
月間PV数(直近30日) 64,894 PV
収益化手段 Googleアドセンス、Amazonアソシエイト
月間収益額(直近4か月平均) 24,795円

ブログを多言語化してから4か月で当該ブログに起こったこと

ブログを多言語化したあと、そのブログにどんなことが起こったかというと、以下のとおりです。

  • 各言語版のPVが月間100前後
  • 日本語版のPVが20%ダウン
  • 日本語版のGoogle検索表示回数が約8.5%ダウン
  • 日本語版のGoogle検索クリック数が約22.3%ダウン
  • 日本語版のGoogle検索平均クリック率が1.1%ダウン
  • 日本語版のGoogle検索平均掲載順位は変わらず
  • 更新や改修の手間が7倍に
  • Googleアドセンスの売上は変化なし、Amazonアソシエイトは減収

各言語版のPVが月間100前後

最もPVの多かった英語版でさえ、9月のPVが275、10月が246、11月が237という有様。
ドイツ語版と中国語(簡体字)版が月間200PV程度、スペイン語版と中国語(繁体字)版が月間150PVほど。
最もPVが少なかったのはフランス語版で、約2か月の運用期間で126PVと惨憺たる結果に。

英語版の全PV

英語版の全PV

ドイツ語版の全PV

ドイツ語版の全PV

フランス語版の全PV

フランス語版の全PV

スペイン語版の全PV

スペイン語版の全PV

中国語(簡体字)版の全PV

中国語(簡体字)版の全PV

中国語(繁体字)版の全PV

中国語(繁体字)版の全PV

日本語版のPVが20%ダウン

日本語版のPVが、10月に入ると徐々に落ち始め、12月に入るとさらに激減しています。
多言語化直前の4週間で71,880あったPVが、11月半ば〜12月半ばの4週間では56,872と約20%ダウン。

9月は若干PVが増えていますが、これは毎年の傾向で、おそらく新しいiPhoneの発表が近くなってユーザーの動きが活発になっているせいだと考えています。

多言語化前の4週間から多言語化後4か月のPVの推移(日ごと)

多言語化前の4週間から多言語化後4か月のPVの推移(日ごと)

多言語化前の4週間から多言語化後4か月のPVの推移(週ごと)

多言語化前の4週間から多言語化後4か月のPVの推移(週ごと)

日本語版のGoogle検索表示回数が約8.5%ダウン

多言語化直前の4週間で66.5万だった表示回数が、多言語化後13〜16週の4週間では60.9万と約8.5%ダウン。

多言語化前4週間+多言語化後16週間のGoogle検索結果表示回数 多言語化前4週間と多言語化後13〜16週間のGoogle検索結果表示回数比較

日本語版のGoogle検索クリック数が約22.3%ダウン

多言語化直前の4週間で4.72万だった表示回数が、多言語化後13〜16週の4週間では3.67万と約22.3%ダウン。

多言語化前4週間+多言語化後16週間のGoogle検索結果クリック数 多言語化前4週間と多言語化後13〜16週間のGoogle検索結果クリック数比較

日本語版のGoogle検索平均クリック率が1.1%ダウン

多言語化直前の4週間で7.1%だった表示回数が、多言語化後13〜16週の4週間では6%と約1.1%ダウン。

多言語化前4週間+多言語化後16週間のGoogle検索結果平均クリック率 多言語化前4週間と多言語化後13〜16週間のGoogle検索結果平均クリック率比較

日本語版のGoogle検索平均掲載順位は変わらず

平均掲載順位には変化がありませんでした。
下がったクエリもあれば上がったクエリもあり、圏外に出ていったクエリもあれば圏内に入ってきたクエリもあるということです。
検索順位については平均値を見てもあまり意味がありませんね。

多言語化前4週間+多言語化後16週間のGoogle検索結果平均掲載順位 多言語化前4週間と多言語化後13〜16週間のGoogle検索結果平均掲載順位比較

更新や改修の手間が7倍に

言語ごとにディレクトリを作りWordPressをインストールするという方針にした時点で、更新や改修はそれぞれのWordPressに対して実施する必要があることは承知の上だったので、これ自体はまったく問題ありません。

ただ、その運用コスト増大に比例する以上に増える予定だった収益がまったく増えなかったので、運用コストだけが跳ね上がってしまった形です。
これはちょっとキツイですね。

Googleアドセンスの売上は変化なし、Amazonアソシエイトは減収

先述したように、Google検索結果の表示回数、クリック数、クリック率が激減し、PVも激減しました。
が、Amazonアソシエイトは順当に減収したのに対し、Googleアドセンスの売上には意外にも変化がありませんでした。

Googleアドセンスはインプレッション収益が激増で収益額をキープ

Googleアドセンスについて数値を見てみると、PV、表示回数、クリック数は順当に下げているのですが、それらを補うようにインプレッション収益が上がっています。
その結果、収益額をキープできたということです。

なぜインプレッション収益がアップしたのかはわかりません。
国ごとの収益レポートを見ても特に外国語版で収益が上がっている様子はなく、日本における収益の特性が変化しています。
まったくもって不思議な話です。

多言語化直前4週間と多言語化後最新4週間のGoogleアドセンスレポート比較
多言語化前4週間と多言語化後最新4週間のGoogleアドセンス売上高比較

Amazonアソシエイトはクリック率ダウン&コンバージョン率キープで収益額ダウン

Amazonアソシエイトは、クリック率が順当に下がりコンバージョン率はキープしたので売り上げもダウンという結果になりました。
Googleアドセンスと違い、こちらは自然な変化です。

多言語化直前4週間のAmazonアソシエイトレポート
多言語化前4週間のAmazonアソシエイト売上高
多言語化後最新4週間のAmazonアソシエイトレポート
多言語化後最新4週間のAmazonアソシエイト売上高

各言語版のPVが伸びなかった原因の推察

外国語版のブログはなぜPVが月間100前後と伸びなかったのでしょうか。
あくまでも推察になりますが、以下のような点が考えられます。

  • 翻訳が良くなかった
  • ローカライズしていなかった
  • 配信サーバーが日本にあった
  • コンテンツそのものの力不足

翻訳の精度、ローカライズ、サーバー

一般的に「多言語化する際はこの点に要注意」と言われている点は、やはり影響があったのでは、と思います。

とりわけ「翻訳の精度」という点はずっと気になってはいました。
予算の都合で「機械翻訳でいく」と決めたものの、やはりそのアウトプットの不自然さは拭えません。

ローカライズについては、そもそも「日本についての情報を外国語で発信」というスタンスだったので、基本的にはローカライズなしで良かったのですが、グローバルな内容でローカライズしたほうが良かった記事もあったとは思います。

あとは、発信していた内容の「日本についての情報」が必要とされていたかどうか、というところで、あまり必要とされている情報ではなかったということも言えるかと思います。

サーバーについては、どうなんでしょう。
これは、完全に同じコンテンツを日本と現地のサーバーにおいて試してみないと実際のところはわからないですね。
感覚的には、やはり物理的な距離が影響しそうな気はしますが。
機会があれば試してみたいものです。

コンテンツそのものの力不足

これは結構あったかなと思います。
世界に向けて発信することで競合も世界規模に増えたわけで、日本国内だけで発信していたときと勝手が違うことはある程度想定していました。

日本国内においてもちょっとしたことで検索順位は結構簡単に入れ替わります。
クオリティーやボリュームがほんの少し変わっただけで、順位の1つや2つは簡単に入れ替わるのです。
世界規模で膨大なコンテンツがしのぎを削っている状況では、厳しい戦いになるのは当然ですね。

日本語であれば、競合のコンテンツを調査しつつ、自コンテンツを緻密にブラッシュアップしていくこともできますが、外国語となるとそれは難しい話です。
いろいろな面で余裕があれば、挑戦してみるのはおもしろいとおもいますが、今はその時ではないですね。。。

日本語版のPVやGoogleからの評価が悪化した原因の推察

ブログを多言語化しただけで、なぜ日本語版のPVやGoogle検索成績が悪化したのでしょうか。
日本語版のコンテンツ自体は何も変更していません。
多言語運用期間中、いくつかの記事を普通に更新しただけです。
更新した記事は特にこれといって特殊なものではなく、いつもどおりのガジェットレポートやTipsなどです。

ただ、これも推測の域を出ませんが、Googleの「ヘルプフルコンテンツシステム」が影響している可能性はあるかもしれません。

Googleの「ヘルプフルコンテンツシステム」

簡単にいうと、「ユーザーにとって本当に有益なコンテンツを高く評価し、有益ではないと判断できるコンテンツは低く評価する」というシステムです。

そして、このシステムは、ページ単体ではなく、サイト全体を評価します。
評価の低いコンテンツを多く含むWebサイトは、Webサイト全体の評価が低下してしまうのです。
例え有益なコンテンツを発信していたとしても、評価の低いコンテンツを多く含むWebサイトのコンテンツは、そうでないWebサイトのコンテンツより低く評価されてしまいます。

Google 検索のヘルプフル コンテンツ システム | Google 検索セントラル | 最新情報 | Google Developers

この「ヘルプフルコンテンツシステム」は2022年8月25日にリリースされ、同12月5日にアップデートがリリースされています。

コア アップデートを含む Google アルゴリズム アップデート履歴のリスト | Google 検索セントラル | 最新情報 | Google Developers

外国語版のコンテンツ群が「有益ではない」と判断された可能性あり

先述したような、翻訳の精度、ローカライズの有無、配信サーバーの物理的な所在地、コンテンツそのもののパワー(競合との関係)等諸々の条件を鑑みると、今回展開した日本語以外の6か国語コンテンツがGoogleから「有益ではない」と判断された可能性は十分にあると言えます。

有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成 | Google 検索セントラル | ドキュメント | Google Developers

文章が読みづらかったり、顧客ニーズが低かったり、読み込み速度が遅かったり、といったコンテンツが「有益ではない」と判断されるとしたら、今回展開した6言語のコンテンツのほとんどがそれに該当すると考えてもいいかもしれません。

これまでのようにページ単位の評価であれば、これらのコンテンツが負債となることはなかったかもしれませんが、評価単位がWebサイト単位となったことで、他の良質コンテンツの足を引っ張ってしまったという可能性は、あくまでも推測ですが否定はしきれません。

日本語版のPVやGoogleからの評価を回復するための施策

日本語版のPVやGoogleからの評価が悪化してしまった要因が今回展開した6言語の外国語版だと仮定して、日本語版のPVやGoogleからの評価を回復させる施策をおこないます。
その施策とは。。。

日本語版以外の6か国語版ブログをすべて削除

Googleの公式ドキュメントにも下記のような記述があります。

有用でないコンテンツを削除することで、他のコンテンツのランキングが改善する場合があります。

今後コンテンツを改善していける見込みがあるのであれば、一旦noindexでもいいのかもしれませんが、現時点でその見込みはないので、思い切って削除することにしました。
念の為、復旧はできるよう丸ごとバックアップはとってあります。

「有用でないコンテンツ」を削除したことで、どれくらいの期間をもってWebサイトが再評価されるのかは明言されていません。
ただ、このヘルプフルコンテンツシステムによってなされた評価は数か月持続する「場合がある」との記載があり、有用でないコンテンツが「長い間」返されていないと判断されると評価が変わってくるということのようです。

気長に待つしかなさそうですね。

ヘルプフルコンテンツシステムだけが評価基準ではない

GoogleがWebサイトを評価している判断基準はもちろんヘルプフルコンテンツシステムだけではありません。
ユーザビリティや、検索しているユーザーの居住地と情報との関連性など、複数の要素から総合的に判断されます。

ランキング結果 – Google 検索の仕組み

手動による対策レポート – Search Console ヘルプ

とはいえ、コンテンツの存在意義を問う上で最も重要な「有用なコンテンツか否か」を判断基準とするヘルプフルコンテンツシステムが検索順位にかなり大きく影響しているであろうことは想像に難くありません。

日本語版評価ダウンの原因が多言語展開でなかった場合

今回は、日本語版評価ダウンの原因が多言語展開であるという推論のもと外国語版ブログをすべて削除しました。
これでしばらく様子を見て、日本語版の評価が戻ってくればよし、戻ってこなければ評価ダウンの原因は多言語展開ではなかったということになります。

何か別のアルゴリズムによるものか、勢いのある競合が伸びてきたせいか、そもそもコンテンツ自体の賞味期限切れか。
あるいはそれ以外の要因か。

そうなったらまた別の施策を考えます。
今回削除した6か国語のブログも復活させるかもしれません。

さて、今回は、ブログを7か国語に多言語化した4か月後の衝撃的な結果と題してお届けしました。

ブログを7か国語に多言語化したら外国語版のPVは月間100〜200程度だし日本語版のGoogle評価が悪化してしまったという趣旨の記事ですが、今の段階ではまだ推論です。
しばらく様子を見て、日本語版の評価がどうなるかを確認してから、再度ご報告したいと思います。

いかがだったでしょうか?
読んでくださったあなたの参考に少しでもなれば嬉しいです。
それではまた次回。